Our Mission Statement

環境問題翻訳チーム・ガイアは1994年、環境問題を専門に翻訳するチームとして発足しました。
当時はまだニッチ的分野であった地球環境問題分野で、質の高い翻訳を提供するという翻訳チーム本来の目的の前に、ガイアには、「広く社会、ひいては世界とつながるような質の高い仕事をしたいと願い、またそれをなし得る可能性を持つ人々が、自分の住む地域を離れず、地元や家庭で活躍しつつ、その可能性を追求できる機会と手段を、またそれを可能にするためのキャパシティビルディングの場を、提供する」という第一義の目的があります。その第一義の目的を確認すべく、このMission Statementを作成しました。

1994年当時の発足メンバーは、大半が神奈川県の東急田園都市線沿線に住む女性の翻訳者たちでした。大学を卒業し、仕事に就いた後、結婚や出産を機に仕事を辞め専業主婦となり、それでも社会とのつながりを仕事という形で実現したいと願い、在宅で仕事が可能な翻訳という職種を選んだ女性たちでした。

当時も、そして21世紀になった今も、仕事をしようとする人々は二者択一の選択を強いられます。「仕事か家庭か」。しかしこの問題の立て方には重要な視点が欠落しています。これは実は多くの場合、「一日の大半を過ごす場所が、自宅から電車で1,2時間離れたオフィス街か、それとも自宅のある地域か」という選択をも迫られているという視点です。

少子化を迎え、女性の社会進出がさらに進み、男女ともが「家庭よりも仕事」を選択した場合のマイナス面は、「各家庭のプライベートな問題」として語られます。ここでも欠落しているのは、男女ともが一日の大半を、自宅のある地域を離れて過ごすことを選択した場合のマイナス面が、実は単なる私的(プライベートな)問題ではなく、自宅のある地域の「公共的(パブリック)な問題」でもあるという視点です。

究極的には、20代から50代の男女の大半が、日中いなくなってしまう「まち」や「地域」。日中は子供たちと高齢者だけになる「まち」や「地域」。そうなってしまった場合の公共的(パブリックな)問題を私たちは懸念します。
環境問題を翻訳する中で私たちが学んだことの大原則は、「そこに当たり前に存在しているものには、見過ごされている大きな価値」があり、その価値が損なわれれば、「想像を絶する重要な影響が生じる」ということでした。水や大気、生物の多様性など、当たり前に存在しているものを守り育てることをせず、ただ失われるに任せることで生じる数々のマイナス面が、地球環境問題そのものである、ということでした。さらに、それを守り育てるには、個別に行っても成果はあがらず、それぞれがつながりを持つなかでこそ、実現できるということでした。それがエコロジー、すなわち「生態系」という考え方だと。

私たちは「まち」や「地域」も同じだと考えます。一つの生態系として、そのなかに存在しているもののつながりのなかで、守り育てていくことが大切だと。けれども、もしそうする人がいなくなったら、「まち」は、そしてそこに住む人々には、どんなマイナス面が生じてくるのでしょう。それは今では想

像し難いことではありません。
私たちは、地元に残り、地元と家庭を守り育むことのできる場所で、一日の大半を過ごすことを選択します。

将来世代の子供たちと、その子供たちや親たちが生きる場所である「HOME」を守り育てるために、「まち」や「地域」を充実させ、その場を『原風景』として一生誇りに思え、勇気を得る場所とするための「マンパワー」となることを選択します。

そして同時に、自分たちが培ってきた能力を、社会の中で仕事として生かすために、「広く社会、ひいては世界とつながるような、質の高い仕事をしたいと願い、またそれをなし得る可能性を持つ人々が、自分の住む地域を離れず、地域や家庭で活躍しつつ、その可能性を追求できる機会と手段を、また、それを可能にするためのキャパシティビルディングの場を、提供する」ために、環境問題翻訳チーム・ガイアを立ち上げます。